茶業界のいまとこれから


世界に通用する日本の生産物であり、長く豊かな歴史と文化を持つ日本茶。しかし、生活スタイルの変化とともに急須でお茶を淹れる人が減っていき、農家に入る収入もずっと右肩下がりになっています※。


※ペットボトル用の茶葉の生産をしている農家の収入はある程度安定しているのですが、一般のお茶農家さんの収入の約7割は単価が高い「一番茶」と呼ばれる茶葉によって構成されています。その「一番茶」の取引価格が10年でほぼ半分になり、お茶を生産しても利益が出ない(あるいは赤字)ということが起こりはじめています。

 
毎日お茶の木と向き合い、こんなにも美味しいお茶を育ててくれているお茶農家さんが、「自分の子どもには茶農家を継がせたくない」と言う。そう言わせてしまう現状がくやしくて、代表の脇奈津子(わき・なつこ)は、「一坪茶園」の活動を立ち上げました。

 初年度の「一坪茶園」会員にヒアリングを重ねるうちに、水出しでも美味しく、急須がなくても淹れられることなど、商品開発につながるニーズが浮き彫りになりました。


そして何より、今まで顔が見えない存在であった農家さんや茶商さんの想いを、お茶を飲む人も知りたかったんだ、ということが見えてきたのです。

「茶葉を育てる」「加工する」「仕上げする」「販売する」のどこまでを自前でやるかなどで、お茶農家さんにもいろいろなタイプがあります。このままではいけないという危機感から、今までの常識を覆すような商品や仕組みの開発に着手されている方々との出会いもありました。「一坪茶園」は、そういったお茶農家さんや茶商さんと連携していきます。

飲む人のことを想像しながらお茶を創り、飲んでもらい、フィードバックをもらってまた試行錯誤する。この循環は、お茶の作り手にとっても、飲み手にとってもワクワクする体験ではないでしょうか。「一坪茶園」は、この輪(私たちは「沼」とも呼んでいます)に加わってくださる人を増やし、新たなお茶の未来を創っていきたいと思っています。